HiPIMSが新たな市場を切り開きます

HiPIMSコーティングが新しい市場を切り開きます。切削インサートの未来を切り開きます。

HiPIMS-切削工具の未来

機械加工の世界は常に変化し続けています。内燃機関(インターナル・コンバスチョン・エンジン)から代替駆動システムへの移行に伴い、多くの機械加工会社や工具メーカーにとって最も重要な主力産業であった従来の自動車製造は、大幅に縮小されています。重要な課題は、工具、金型製造、重切削加工、航空宇宙、そして同じ電気自動車などの新しい市場を獲得することです。しかしこれらの市場の競争は、既に熾烈です。この中で生き残る為には、他より明らかに突出した優れたパフォーマンスを持たなければなりせん。その優れた武器こそ、長年お客様の為の独自のソルーションを開発している弊社のHiPIMSコーティングなのです。

パフォーマンスの向上、機械加工の高速化、プロセスの高い信頼性は、生産性を上げ、新しい市場獲得の重要な鍵となります。弊社のコーティング材料のFerroCon®、InoxaCon®、AluCon®は、お客様と工具メーカーにまさにこれらの優位性をご提供します。同時に優れたチップ排出とより良い表面仕上げも保証します。今まで必須だった冷却水量も少なくなり、切削条件を大幅に向上させることができます。更に、工具寿命が長くなり、セットアップの間隔も長くなります。このような生産性の利点は、新しい顧客や市場を獲得するための十分な理由となりえることでしょう。

工具と金型製作における総評

自動車関連業界の衰退は、工具、金型メーカーにとっても試練になります。これを打開する為に、より幅広いビジネスチャンスと新しい分野の獲得を求められます。グローバルな競争の中でトップの地位を維持するためには、金型、パンチ、ダイを最高の品質基準でより経済的に生産することが絶対条件となるのです。

工具製作において最も重要な技術は、高い生産性と柔軟性を兼ね備え、そしてより高い品質を実現することができるフライス加工です。工具、金型メーカーにとって、革新的な工具のソルーションが求められています。「層膜 6 µmを実現するFerroCon®と驚くべき層膜12 µm を実現可能にするFerroCon®Quadroは、鋼鉄製金型の荒加工用に適しています。HiPIMSコーティングを施したチップは、この高い膜厚のおかげで、非常に優れた切りくず排出率で生産性が益々向上します。」CemeCon切削インサート製品マネージャーのInka Harrandはこう述べます。

重切削加工に最適

とりわけレール、ターンアウト、パイプ、クランクシャフトなどの重切削加工や鋳鉄や鉄系材料のロータリーピーリング加工では、必要な最大摩耗量を達成するために、コーティング厚6 µm を実現するFerroCon®とコーティング厚12 µmを実現する FerroCon®Quadroが第一候補となります。なぜなら、このような荒削りな作業では、1マイクロメートルでも多く加工することが経済性を左右するからです。例えばレールのメンテナンスなどは、大きな損傷を取り除き、ほぼ新品同様の状態に戻すためにフライス加工が行われます。Inka Harrandは以下のように続けます。「ここでは、最高の加工速度と加工品質を持ち合わせるプロファイル工具が求められ、通常非常に多くの切削インサートが装備されています。コーティング厚を厚くすることで、工具の耐用年数を大幅に延ばすことが出来、経済性を高めることができます。この関係性は、ほぼ比例関係にあります。そこで、コーティング厚6 µmを実現する FerroCon®とコーティング厚12 µm を実現するFerroCon®Quadroが威力を発揮するのです。」

硬度32HRCの材料1.0503 (C45) (vc = 220 m/min, ap 0.5 m/min、冷却水なし)をフライス加工する場合、FerroCon®Quadroのコーティングを施したさまざまなインサートチップでは、工具寿命が180分となります。従来のコーティングを施したインサートチップでは、120分、95分、65分とより短いです。

CemeConでは、コーティングプロセスの最初の段階から品質保証が行われています。

将来の航空宇宙市場:HiPIMS によるチタン加工

航空機の製造では、安全上の理由から一度認定した工程は変更できないルールとなっていました。これは、機械加工も同じです。このように工程と工具は、長い間変化なく使われていますが、現在の視点からするとあまり効率的ではないことが多いのです。しかしながら、ここ数年、航空機メーカーや供給会社には、大きなプレッシャーがのしかかっています。よりコストを削減し、経済的に生産する為に今まさに、さまざまなところで、試験加工されているのです。これは、工具メーカーが高性能なソリューションで、新しい業界に足を踏み入れる大きなチャンスでもあるのです。

そのよい例のひとつがチタン加工です。航空機の多くの部品は、様々なチタン合金でできています。しかし、この軽量な素材を加工するのは、決して容易なことではありません。しかしHiPIMS コーティング材料であるInoxaCon®と AluCon®を用いることで、大幅な性能アップが可能になります。例えば、高強度チタンアルミニウム合金TiAL6V4の油性加工 (vc = 100 m/min, fz = 0.06 mm, ae = 15.28 mm, ap = 0.8 mm, vb = 0.34) では、AluCon®のコーティングを施したⅩ形状のインサートチップの工具寿命を14.48mまで延長しました。これは、工具寿命がたった11mに過ぎなかった従来のTiAlSiNコーティングと比較し、30%以上の飛躍になります。

E-モビリティの広がる可能性

従来の自動車製造に比べるとe-モビリティの機械加工は、圧倒的に少なくなります。これこそが、機械工がますます産業界から閉め出されてしまう原因なのです。「それに加えて、アルミ合金は、機械加工が中心です。ここでシェアを獲得するためには、様々な要求に応えられる工具が必要不可欠です。AluCon®のコーティングが施されたインサートチップは、コーティングされていない超硬合金のふさわしい代替品となるでしょう。」Inka Harrandは、そう断言します。アルミニウムのフライス加工を例としてあげると、AluCon®は、コーティングを施さないインサートチップと比較してチップの工具寿命を30%も向上することが可能なのです。

HiPIMSは切削インサートチップコーティングの未来です。もはや不可欠なものです。

CemeCon社カッティングインサートプロダクトマネージャー、Inka Harrand

品質保証!

HiPIMSのコーティング材料自体がプレミアクラスのものということに加え、その品質も卓越しています。お客様にいつも同じ仕様、同じ品質のコーティングを提供するために、弊社のCemeConのチームは、コーティングプロセスの最初から、例えば、エッジの状態、起こりえるダメージ、汚染の程度、素材の表面などを非常に注意深く観察しています。なぜならこれらの基準は、コーティングの品質に影響を与える可能性があるからです。そしてコーティング材料、コーティングの厚さ、前処理、仕上げなどのパラメータや作業工程をツールとアプリケーションに、より正確に適合させるのです。

適合したコーティングソリューションが量産に入ると定期的なチェックが行われ、常に高い品質が保証されます。各ステーションの全ての従業員が作業材料、各工程、各作業工程でのインサートチップの取り扱いを継続的にチェックします。各オーダーポジションでのランダムな入出力のチェックは、量生産の一部となっているのです。 

因みに世界各地のCemeConコーティングセンターでは、工程と生産がミラーリングされている為、どの国の工具メーカーでもドイツと同じ品質のコーティングソリューションが可能となります。

切削インサートチップ用コーティング材料HiPIMS

FerroCon®

非合金鋼、合金鋼、鋳鉄用

コーティング材料:
AlTiNベース

耐熱温度:
1,100 °C

色:
アンスラサイト(ダークグレー)

切削インサートチップ用のコーティング厚:
3 µm, 6 µm, 12 µm

InoxaCon®

ステンレス鋼、高合金鋼、
チタン、ニッケル基合金、難削材(CrCo)

コーティング材料:
TiAlSiNベース

耐熱温度:
1,100 °C

色:
銅(レッドゴールド)

切削インサートチップ用のコーティング厚:​​
3 µm and 6 µm

AluCon®

アルミニウム、チタン、銅、その他非鉄金属加工用

コーティング材料:
TiB2ベース

耐熱温度:
1,000 °C

色:
Silver

切削インサートチップ用のコーティング厚:
2 µm

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